ヴィオロン
(5月8日分に投稿した日記、編集して再投稿)
ヴィオロン
裕さんが生前よく来ていた名曲喫茶「ヴィオロン」に来ています。
結婚して初めて連れて来てもらった時、店内はとても暗くて入った途端に
何も見えなくなってしまいました。
私は「え?何て暗い店?こんなところ好きだなんて裕さん変わってるわねー」と
思ったものです。
立派なオーディオ装置から大音量で流れて来るクラシック曲を聴きながらコーヒーを飲む。
だいぶ目が慣れて見回すと数人のお客さんが居るのがわかるのです。
裕さんの会社のお友達のお嬢さんがここで演劇をした事もありました。
すました顔で手を指揮者のように小さく振りながら聴き入る彼の横顔が目に浮かびます。
今日はチェロの組曲が流れています。彼、チェロの音色が好きだったな…
iPhoneの中のメモを整理しようとここに来てみたけど、読み返しては消せずに
涙が溢れてくるばかりです。そろそろ帰ろうかな。
帰り道、二人並んで歩いた道をたどってみた。
バス通りと並行した1本西に入った商店街。
歩き進むと上の方にマンションの深緑の屋根が見えて来る。
それを裕さんは「ほら、あれ大きな緑の山に見えないかい?」と
この道を通るたびに言っていた。忘れられない。
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